モーズレイ処方ガイドライン第14版(The Maudsley PrescribingGuidelines inPsychiatry 14thEdition)menu open

Chapter 8 Hepatic and renal impairment肝機能障害と腎機能障害

肝機能障害

肝機能障害患者には次のような特徴がある。

  • 体内廃棄物,食物性蛋白質,薬剤等の異物を代謝する能力が低下している可能性がある。その結果,肝性脳症や,薬剤に対する用量依存性の副作用が増加する等の臨床的帰結が生じることがある。
  • 血漿蛋白やビタミンK依存性凝固因子を合成する能力が低下している可能性がある。その結果,低アルブミン血症や,極端な例では腹水等の臨床的帰結が生じることがある。蛋白結合率の高い薬剤の毒性が上昇することも想定すべきである。消化管刺激作用のある薬剤やおそらく選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)により,出血リスクも増大する。
  • 肝血流量が減少している可能性がある。その結果,食道静脈瘤,初回通過効果を受ける薬剤の血漿中濃度上昇等の臨床的帰結が生じることがある。

一般的原則

肝臓は予備能力に余裕があるため,肝機能検査(LFT)は肝代謝能の適切な指標とはならない。慢性肝疾患を有する患者の多くは無症状か,臨床症状に波があるので注意が必要である。LFTをベースとした厳格な運用にこだわらず,常に臨床症状を考慮することが必要である。

肝疾患を有する患者への向精神薬投与を検討した臨床研究は少ない。向精神薬を投与する際には,以下の原則を遵守すべきである。

  1. 処方する薬剤数はなるべく少なくする。
  2. 通常よりも低用量から開始するが,蛋白結合率の高い薬剤の場合には特に気を付ける。三環系抗うつ薬(TCA),SSRI(citalopramを除く),トラゾドン,抗精神病薬は,少なくとも投与開始初期には,血漿中の遊離薬物濃度が上昇する可能性がある。これは測定した(総)血漿中濃度には反映されない。初回通過効果を大きく受けることが知られている薬剤は,通常よりも低用量を投与すること。例えばTCA,ハロペリドールがこれに該当する。
  3. 肝代謝を大きく受ける薬剤(大半の向精神薬)は慎重に使用する。通常よりも低用量を投与しなければならない場合もある。例外は,スルピリド,amisulpride,リチウム,ガバペンチンであり,これらの薬剤はいずれも,肝代謝をほとんどまたは全く受けない。
  4. 増量の間隔を長くとる。肝機能障害があると,ほとんどの薬剤の半減期が長くなるため,血漿中濃度が定常状態に達するまでに時間がかかることに留意する。
  5. アルブミン値が低下している場合には,蛋白結合能が高い薬剤を投与することによる影響を検討し,腹水がある場合には,水溶性の薬剤を投与すると分布容積が増大することを考慮する
  6. 半減期が長い薬剤や,効力を持たせるために代謝される必要のある薬剤(プロドラッグは避ける
  7. に副作用の有無を綿密にモニタリングする。副作用の発現が遅延することもある。
  8. 肝性脳症を招くリスクがあるため,鎮静作用の強い薬剤の使用は避ける
  9. 肝性脳症を招くリスクがあるため,便秘を誘発する作用が強い薬剤の使用は避ける
  10. それ自体に,既知の肝毒性がある薬剤の使用は避ける[モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI),クロルプロマジン等]。
  11. リスクの低い薬剤を選択し(以下の表を参照のこと),少なくとも投与開始時期には週1回の割合でLFTのモニタリングを行う。新しい薬剤を導入した後にLFTが悪化した場合は,別の薬剤への変更を検討すること。薬剤間で交差肝毒性が生じうることに留意すること。構造が似ている薬剤間では特に注意が必要である1

重度肝疾患(アルブミン低値,凝固時間延長,腹水,黄疸,脳症等)の場合は,上記の原則を厳守すべきである。前述および後述の情報は,患者の臨床症状や徴候を考慮に入れて解釈すべきである。

肝機能障害がある場合の抗精神病薬(表 8.1)

抗精神病薬の処方を受ける患者の1/3では,LFTの少なくとも1項目の値が異常であり,4%では少なくとも1項目が正常値上限の3倍に上昇している2。トランスアミナーゼが影響を受けることが最も多く,異常は一般に治療開始から1-6週間以内で生じる。しかし,この結果として臨床的に重大な肝機能障害が起こることは稀である2。メタボリックシンドローム(肥満,インスリン抵抗性)の進行は,治療後期の非アルコール性脂肪性肝疾患の発生につながることがある3,4

表8.1 肝機能障害がある場合の抗精神病薬

薬剤 コメント
amisulpride 5, 6 主に腎臓から排泄されるため,腎機能が正常であれば,投与量を減らす必要はない。稀にトランスアミナーゼ上昇と肝細胞損傷を伴うことがある
アリピプラゾール5–8 肝で大幅に代謝される。データは限られているが,肝機能障害は薬物動態にほとんど影響を及ぼさないことが示されている。SPCには,軽度から中等度の肝機能障害の場合は投与量を減量する必要はないが,重度の場合には慎重に投与すべきと記載されている。肝毒性,LFT値上昇,肝炎,黄疸の報告が少数ある2,9-11
アセナピン5, 6, 8 肝で代謝される。SPCでは,重度の肝疾患の場合は使用しないよう推奨されている(アセナピン曝露量が7倍に上昇)。軽度から中等度の肝疾患の場合,用量調節は必要ないが12,中等度肝障害患者でも血漿中濃度上昇の可能性があることに留意する。トランスアミナーゼ,AST,ALTの症状のない一過性の上昇が,特に治療初期によくみられる。軽度の胆汁うっ滞性肝損傷の症例報告が1件あるが,治療中止後に回復した13
ブレクスピプラゾール6, 14 情報が少ない。中等度または重度の肝機能不全では,統合失調症の治療としては3mg/日以下,うつ病の治療としては2mg/日以下の用量を使用する。半減期が長い(約90時間)
cariprazine 6, 15 ALTおよびASTの臨床的に重要でない上昇がみられることがある。軽度または中等度の肝機能障害患者では用量調節は必要ない。重度の肝疾患には推奨されない(評価が行われていない)。半減期が長い(約2-4日間)。肝炎が報告されている
クロザピン1, 5, 6, 16–18 鎮静作用と便秘作用が強い。悪心,食欲不振または黄疸を伴う活動性の肝疾患,進行性肝疾患,または肝不全に対しては禁忌である。あまり重症でない肝疾患の場合は12.5mgから始め,徐々に増量を行い,血中濃度に基づいて代謝能を評価し,用量調節の指針とする。他の抗精神病薬と比較して,肝酵素が変化する頻度が高い。本剤投与を行うと,身体的に健常な人の10%以上で,正常範囲の2倍を超える一過性のAST,ALT,GGT値上昇が生じるが,6-12週間で自然回復する19。本剤誘発性の肝炎,黄疸,胆汁うっ滞,肝不全が報告されている。これらが生じた場合は,投与を中止すべきである。肝炎後の再投与が成功した例が報告されている20,21。Chapter 1のクロザピンの副作用に関する項を参照のこと
flupentixol/zuclopenthixol 5, 6, 22, 23 両薬剤とも肝で大幅に代謝される。flupentixolによるLFT値の異常および(稀に)黄疸が報告されている5。zuclopenthixolを投与した一部の患者で,一過性のわずかなトランスアミナーゼ値上昇,胆汁うっ滞性肝炎,黄疸5が報告されている。flupentixol誘発性肝炎が1件報告されている24。他に,投与や有害作用に関する文献報告はない25。肝機能が低下している患者では,用量を50%減らすこと。デポ剤の場合は,薬物動態の変化によって用量調節が難しくなり,蓄積による副作用が生じやすいため,使用しないことが望ましい
ハロペリドール5 肝で大幅に代謝される。初期用量を半分にすること。胆汁うっ滞,急性肝不全,肝炎,LFT値異常の単発症例が報告されている5,6
iloperidone 6, 8, 26 肝で代謝される。肝機能障害が中等度(活性代謝物が2倍に増加)の場合は用量を減らし,重度の場合には一切投与しないこと(研究は実施されていない)。軽度の肝機能障害では用量の減量は必要ない。稀に胆石症の報告がある
lumateperone 27, 28 肝で活性代謝物へ代謝される。軽度の肝機能障害では用量の減量は必要ない。中等度および重度肝機能障害の場合はlumateperoneへの曝露が増大するため,製薬会社は投与を避けるよう推奨している。治験で,トランスアミナーゼ値上昇が報告されている。
ルラシドン5, 6, 8 肝で代謝される。SPCでは,肝機能障害がある場合は18.5mg(20mg)から開始し,中等度の肝機能障害(曝露量が1.7倍増加)の場合には最大用量を74mg(80mg)/日とし,重度の肝機能障害(曝露量が3倍増加)の場合には37mg(40mg)/日とすべきと推奨されている。軽度の肝機能障害では用量調節は必要ない。稀にALT値上昇の報告がある
オランザピン1, 5, 6, 8 肝で大幅に代謝されるが,重度肝機能障害の場合も薬物動態はほとんど変化しないようである。鎮静作用および抗コリン作用(便秘の原因になる可能性がある)があるため,注意が必要である。中等度および重度肝機能障害の場合,開始量は5mg/日とし,投与量の指針として血漿中濃度を使用することを考慮に入れる(目標は20-40μg/L)。身体的に健常な成人に投与したところ,特に投与初期に用量依存性,一過性,無症候性のALT値とAST値の上昇が非常によく認められている。肝疾患患者または他の肝毒性作用のある薬剤を使用している患者ではリスクが高いと考えられる。文献では肝炎の症例が稀に報告されている
パリペリドン5, 6, 8 主に未変化体として腎から排泄されるため,軽度から中等度の肝機能障害の場合,用量調節は不要である。ただし,重度肝機能障害に関するデータはなく,臨床での使用経験も限られているため,投与する場合は慎重にする。トランスアミナーゼ値およびGGTの上昇,また一部の患者では黄疸が報告されている。肝疾患の既往がある患者では優れた選択肢かもしれない29-31。リスペリドン投与時に肝毒性が認められた1例で,パリペリドンへ切り替え後も軽快がみられなかったという報告があり,パリペリドンは肝毒性を引き起こす可能性がある32
フェノチアジン系薬剤5, 6 いずれも鎮静作用および便秘作用がある。LFT値の一過性の異常が報告されている。胆汁うっ滞と関連があり,劇症肝硬変も何件か報告されている。肝機能障害がある場合は,一切使用しないことが望ましい。一部のフェノチアジン系薬剤はとりわけ禁忌である。特にクロルプロマジンは肝毒性が強く,稀に免疫介在性閉塞性黄疸が発生し,肝疾患に進行することがある
pimavanserin6 活性代謝物の半減期は非常に長い(200時間)。肝機能障害の場合の使用は推奨されない。肝毒性はないようである
クエチアピン5, 6, 8, 33 肝で大幅な代謝を受けるが,半減期は短い。肝機能障害があると,クリアランスが平均30%低下するため,25mg/日(速放性製剤)または50mg/日(徐放性製剤)から開始し,25-50mg/日ずつ漸増させる。鎮静や便秘を引き起こす可能性がある。AST,ALT,GGT値の一過性の上昇,稀に黄疸および肝炎が報告されている。文献では致死的な肝不全および肝細胞障害の症例が何件か報告されている。多数の研究で,アルコール依存症患者での使用が記載されている34-36
リスペリドン1, 5, 6, 8 肝で大幅に代謝され,また蛋白結合率が高い。製薬会社は,開始用量を半分にし,徐々に増量することを推奨している。重度の肝障害がある患者は0.5mg1日2回から開始し,0.5mgずつ増量して1.5mg超1日2回の用量では最大投与頻度を週1回とすべきである。Risperdal Consta は12.5mgの隔週投与,または2mgの1日1回経口投与で忍容性がある場合は25mgの隔週投与から開始できる。一過性,無症候性のLFT値上昇,胆汁うっ滞性肝炎,黄疸,稀に肝不全が報告されている。パリペリドンとの交差肝毒性が報告されている32。体重増加の結果,脂肪性肝炎を生じることがある37
スルピリド5, 6 ほぼ完全に腎から排泄され,鎮静作用や便秘作用の可能性は低い。投与量を減らす必要はない。肝酵素値の上昇がよくみられる。胆汁うっ滞性黄疸および原発性胆汁性肝硬変に関する単発の症例報告がある

ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,GGT:γ-グルタミルトランスフェラーゼ,LFT:肝機能検査,SPC:製品概要

肝機能障害がある場合の抗うつ薬(表 8.2)

抗うつ薬の投与を受けている患者のうち0.5-3%で無症候性の軽度の肝トランスアミナーゼ高値が生じる38。この上昇は投与開始後数日から6ヵ月の間に生じ,高齢者で特に生じやすい38。しかし,明らかに臨床的に重大な肝機能障害は稀であり,ほとんどは特異体質による(予想ができず,用量に関係がない)。クラス内での交差毒性が報告されている38

表8.2 肝機能障害がある場合の抗うつ薬

薬剤 コメント
agomelatine5, 6, 38-40 肝不全,正常値上限の10倍を超える肝酵素値の上昇,肝炎等の肝機能障害が報告されている。投与開始後最初の1ヵ月が最も多く,ごく稀に死亡に至ることがある。肝硬変および肝疾患など肝機能障害がある場合は禁忌である。用量依存性のトランスアミナーゼ値の上昇が報告されている。ベースライン時,投与開始から3,6,12,24週目,用量漸増毎,および臨床的に必要な状況ではその後も適宜LFTを行う。トランスアミナーゼ値の上昇が正常値上限の3倍を超える場合は投与を中止する。肝疾患の危険因子が他にもある場合は慎重に投与する
既存のモニタリング条件下では,肝機能障害のリスクは他の抗うつ薬と同様である41,42
brexanolone 6, 19 肝機能障害の場合,用量調節は必要ない。使用経験は限られているが,肝毒性との関連はないようである
デュロキセチン5, 6, 43-47 肝で代謝される。軽度の肝機能障害でもクリアランスが著明に低下する。肝細胞障害(正常値上限の10倍を超える肝酵素値の上昇)や,頻度は低いが,黄疸の報告がある。肝不全(ときには死亡に至る)の報告がある。肝機能障害例では禁忌である
fluoxetine 5, 6, 48-52 肝で大幅に代謝され,半減期が長い(肝不全がさらに増加する)。薬物動態試験では,代償性肝硬変で蓄積することが明らかになっている。投与量を減らしたり(50%以上減らす),隔日投与にしたりすることが推奨されるが,この場合,血清中濃度が定常状態に達するまでに何週間もかかるため,使用が複雑になる。健常成人の0.5%に無症候性のLFT値上昇が生じている。また,肝炎の症例が稀に報告されている
levomilnacipran,ミルナシプラン6,19 肝機能障害の場合,用量調節は必要ないが,ミルナシプランの製薬会社は慢性肝疾患例,アルコール摂取例,重度の機能不全例に対しては使用しないよう推奨している。肝酵素値の上昇が報告されており,ミルナシプランでは肝炎も報告されている。黄疸または肝機能障害が生じたときは使用を中止する
MAOI 5, 6, 53 phenelzineにより稀に致死的な肝壊死,肝毒性,黄疸の症例,tranylcypromineにより稀に肝炎の症例,moclobemideにより致死的な肝毒性の単発の症例が報告されている。肝機能障害ではmoclobemideの用量を半分から1/3まで減量するか,投与間隔を延長すべきである。セレギリン経皮投与は肝機能障害を伴わない54。肝機能障害例では非選択的MAOIは禁忌である
ミルタザピン5, 6, 55 肝で代謝され,鎮静作用がある。薬物動態データに基づき,投与量を50%減らすことを推奨する。健常成人では軽度の無症候性のLFT値上昇が生じることがある(被験者の2%に正常値上限の3倍を超えるALT値)。胆汁うっ滞および肝細胞障害が数件報告されている。原発性胆汁性胆管炎例で安全に使用されている56
その他の SSRI 5, 6, 47, 52, 57-64 いずれも肝で代謝され,長期投与により蓄積される。投与量を減らす(例:最大量を50%減量する65,および/または投与頻度を減らす)必要がある場合もある(詳細は個々の薬剤のSPCを参照のこと)。パロキセチンについては,LFT値上昇,および稀ではあるが慢性活動性肝炎を含む肝炎が報告されている。セルトラリンおよびフルボキサミンも肝炎と関連することが示されている。citalopram,エスシタロプラム,パロキセチンは肝酵素に対する影響がほとんどないため,選択できるSSRIと考えられるが,肝毒性が時折報告されている。パロキセチンについては,一部の肝疾患治療専門施設で用いられており,明らかな問題は少ない。セルトラリンおよびパロキセチンは胆汁うっ滞性掻痒症の管理に用いられている66。出血のリスクが増加することに注意する
reboxetine 5, 6, 67 開始量を通常の 50% に減らすことを推奨する。肝毒性との関連はないようである
TCA5, 6, 68 いずれも肝で代謝され,蛋白結合率が高く,蓄積する。鎮静作用や便秘作用の傾向は薬剤によって異なる。いずれもLFT値上昇と関連があり,稀に肝炎も報告されている。トリミプラミン,イミプラミン,dothiepin(ドスレピン),アミトリプチリン等の鎮静作用を有するTCAは使用しないことが望ましい
ベンラファキシン/desvenlafaxine5,6,69,70 軽度および中等度の肝機能障害がある場合は,投与量を50%減らすことが推奨される。また,肝炎が稀に報告されている
vilazodone 6 肝機能障害の場合,用量調節は必要ない。肝酵素への影響はないようで,肝毒性症例もないが,データは限られており,他のSSRIは肝毒性と関連がある
ボルチオキセチン5, 71, 72 肝で大幅に代謝される。肝機能障害患者での使用経験はほとんどないが,薬物動態試験では,減量の必要はないことが示唆される。肝毒性との関連はないようである

ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,LFT:肝機能検査,MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬,SPC:製品概要,SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬,TCA:三環系抗うつ薬

肝機能障害がある場合の気分安定薬5, 6, 73

肝機能障害がある場合の気分安定薬の使用に関する推奨を表8.3に要約する。

表8.3 肝機能障害がある場合の気分安定薬

薬剤 コメント
カルバマゼピン5, 6, 73 肝で大幅に代謝され,強力なCYP450酵素誘導作用を持つ(これにより,GGTとALPの中等度の上昇が引き起こされることがあるが,これ自体は投与中止を示唆するものではない5)。安定した慢性肝疾患の場合は,慎重に投与することが望ましい。急性肝疾患症例に対しては使用しない。開始量を50%まで減らし6,血中濃度を投与量の指針として徐々に増量する。LFT値が悪化した場合は投与を中止する。肝炎,胆管炎,胆汁うっ滞性および肝細胞性黄疸,肝不全(稀である)と関連する。肝臓に対する副作用が特に多くみられるのは,投与開始後の2ヵ月間である73。肝細胞障害は転帰不良に関連することが多い。本剤誘発性の肝機能障害の発症のしやすさは,遺伝的に決定されている可能性がある73
ラモトリギン19 製薬会社は,中等度の肝機能障害がある場合は初期量,増量,維持量を50%減らし,重度肝機能障害がある場合は75%減らすことを推奨している。本剤誘発性の発疹(重篤になりうる)が生じた場合は,投与を中止する。特に女性,小児の場合,およびバルプロ酸と併用する場合には厳重な注意が必要である。LFT値上昇と肝炎が報告されている
リチウム6 肝では代謝されないため,腎機能が正常であれば投与量を減らす必要はない。血清中濃度を投与量の指針とし,腹水の状態が変化した場合は(分布容積が変化するため)モニタリングをより頻回に行う。長期投与が行われている患者のごく一部で一過性の無症候性LFT値異常が報告された19。リチウムは世界各国で長年にわたって使用されているが,その間に報告された腹水および高ビリルビン血症は,それぞれ1例である
バルプロ酸74 蛋白結合率が高く,肝で代謝される。中等度の肝機能障害がある場合は投与量を減らし,LFTを綿密にモニタリングする。血漿中濃度(遊離薬物濃度を測定。総濃度は正常にみえることがある)を投与量の指針とする。慎重に投与することが望ましい。重度肝機能障害および/または活動性肝機能障害がある場合,または重度肝機能障害の家族歴がある場合は禁忌である。通常の代謝経路が損なわれると,別の経路によって肝毒性を有する代謝産物が産生される可能性がある。サリチル酸を併用している場合,肝不全患者では肝毒性のリスクが上昇する。LFT値上昇や,(ときには致死性の)劇症肝不全を含む重篤な肝毒性と関連がある。危険因子として,ミトコンドリア病,学習障害,多剤併用,代謝障害,基礎にある肝疾患が挙げられる。幼児では肝毒性が特に強く現れる。最もリスクが高いのは,治療開始後3ヵ月間である

ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,CYP:シトクロム,GGT:γ-グルタミルトランスフェラーゼ,LFT:肝機能検査

肝機能障害がある場合の精神刺激薬5, 6, 75

肝機能障害がある場合の精神刺激薬の使用に関する推奨事項を表8.4に要約する。

表8.4 肝機能障害がある場合の精神刺激薬

アトモキセチン76 中等度の肝機能障害がある場合は初期用量および目標用量を50%減量し,重度の肝機能障害がある場合は75%減量する。肝酵素値上昇,および黄疸を伴うビリルビン値上昇を所見とする肝毒性が極めて稀に報告されている。SPCには「黄疸患者または検査値から肝障害が認められる患者では投与を中止し,再開しないこと」と記載されている
メチルフェニデート77 肝機能障害および過敏性反応が稀に報告されている
dexamphetamine/lisdexamphetamine 78, 79 肝疾患患者に対する臨床経験はほとんどない。製薬会社は慎重に用量漸増するよう推奨している。ごく稀に肝機能異常と関連し,肝毒性が2件報告されている80,81

SPC:製品概要

肝機能障害がある場合の鎮静薬

肝機能障害がある場合に推奨される鎮静薬を表8.5に要約する。

表8.5 肝機能障害がある場合の鎮静薬

ベンゾジアゼピン系薬剤 肝で大幅に代謝される。活性代謝物がある薬剤(ジアゼパム,ミダゾラム,クロナゼパム)では特に効果持続時間が長くなる。ロラゼパム,oxazepam,temazepamは活性代謝物がないので望ましい。ロラゼパムは進行した肝疾患患者では最も忍容性が高いとみられ19,アルコール離脱症状のある患者で一般に用いられる。血清酵素上昇は珍しく,肝障害は極めて稀である19
プロメタジン6 肝で大幅に代謝される。製薬会社は肝機能障害の場合は慎重に投与するよう推奨している。高用量時に黄疸の報告があるが,低用量時はLFT値異常,毒性の報告はない19
Z薬6, 82, 83 肝で代謝されるが,いずれも半減期は比較的短い(1-7時間)。軽度から中等度の肝機能障害の場合は初期用量を減らし(ゾピクロン3.75mg,ゾルピデム5mg,zaleplon 5mg),重度の肝機能障害患者には使用しない。肝機能障害時,zaleplonは初回通過代謝の影響を強く受け,ゾルピデムは血漿中濃度,半減期が顕著に増加するため,これらの薬剤は慎重に投与すべきである84。ゾピクロンは半減期が比較的長いが,これは,重度疾患以外では臨床的に重要ではないと考えられる83。ゾピクロンおよびzaleplonは肝毒性との関連がみられていない。ゾルピデムでは,LFT値異常の報告が稀にあり,肝障害の報告が1件ある19
メラトニン6, 85 肝機能障害の場合,メラトニンの体内処理は複雑である。クリアランス低下および長い半減期によって,日中の内因性メラトニン血中濃度が高くなる。ネガティブフィードバックおよび毒性生成物の蓄積により内因性メラトニンの産生が減少する。外因性メラトニン投与の意義は明確ではないが,メラトニンの毒性は極めて低い。製薬会社は肝疾患例に対しては使用しないよう推奨している。稀にLFT値の変化を伴う

肝機能障害がある場合のその他の向精神薬

肝機能障害がある場合のその他の向精神薬の使用に関する推奨事項を表8.6に要約する。

表8.6 肝機能障害がある場合のその他の向精神薬

bremelanotide6 軽度から中等度の肝機能障害の場合,用量調節は不要である。副作用が生じる可能性が高いため27,重度の肝機能障害の場合は慎重に使用する。急性肝炎が1件報告されている
deutetrabenazine5, 19 肝機能障害については研究されていないが,テトラベナジン投与の経験に基づき,使用は禁忌である。限定的な情報はあるが,臨床的に重大な肝毒性については報告されていない。時々無症候性のALT上昇がみられる
レンボレキサント6, 27 軽度の肝機能障害の場合,用量調節は不要で(傾眠の増強のリスク),中等度の肝機能障害の場合は開始・最大用量は夜1回5mg。重度の肝機能障害の場合は推奨されない。臨床経験はほとんどないが肝毒性の報告はない86
pitolisant5, 27 肝で大幅に代謝される。軽度の肝機能障害の場合,用量調節は不要である。中等度の肝機能障害の場合,半減期が2倍に延長するため,投与開始から2週間で1日当たりの投与量を増加させることが可能である。最大18mg/日。重度の肝機能障害では禁忌である。肝酵素の上昇は稀
solriamfetol5 代謝されない。肝機能障害での問題は明らかではない。肝障害の報告はない
valbenazine6, 19 肝でプロドラッグのalpha-dihydrotetrabenazineへ代謝される。deutetrabenazineとは異なり,肝疾患に禁忌ではないが,中等度から重度の肝機能障害では最大用量40mgとする。データはほとんどないが,既存C型肝炎の再活性の報告1件を除いて,臨床的に重大な肝障害の報告はない

肝機能障害がある場合の向精神薬

肝機能障害がある場合に推奨される向精神薬の要約を表8.7に示す。

表8.7 肝機能障害がある場合の向精神薬

薬剤群 推奨される薬剤
抗精神病薬 スルピリド/amisulpride:腎機能が正常であれば,投与量を減らす必要はない
パリペリドン:デポ剤が必要な場合
抗うつ薬 パロキセチン,セルトラリン,citalopram,ボルチオキセチン:低用量から開始する。前述の通り,(必要な場合は)徐々に増量する
気分安定薬 リチウム:血漿中濃度を用量の指針として用いる。腹水の状態が変化した場合は注意が必要である
鎮静薬 ロラゼパム,oxazepam,temazepam:半減期が短く,活性代謝産物がない。重度疾患患者に鎮静薬として使用する場合は,肝性脳症を生じるおそれがあるため,低用量で慎重に投与する
ゾピクロン:中等度の肝機能障害の場合,3.75mgを慎重に投与する

薬剤誘発性の肝障害

Hyの法則では,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常値上限の3倍を上回り,なおかつ血清ビリルビンが正常値上限の2倍を上回る場合を肝毒性と定義し,米国食品医薬品局(FDA)は,このHyの法則で新規薬剤の肝毒性を評価することを推奨している73

薬剤誘発性肝機能障害の原因として,以下の可能性が考えられる。

  • 用量に直接関係した肝毒性[副作用(ADR)タイプ1]。paracetamol(アセトアミノフェン),アルコール等の少数の薬剤がこのカテゴリーに分類される。
  • 過敏症反応(ADRタイプ2)。発疹,発熱,好酸球増加症が生じうる。ほぼすべての薬剤で肝毒性が報告されているが,その頻度は様々である。

軽度で一過性,無症候性のLFT値上昇から劇症肝不全に至るまで,あらゆる種類の肝機能障害が生じる可能性がある。個々の薬剤の肝毒性の可能性の詳細については,本項の前述の表を参照のこと。

薬剤誘発性の肝毒性の危険因子には以下のようなものがある87

  • 加齢
  • 女性
  • 飲酒
  • 酵素誘導作用のある薬剤の併用
  • 遺伝的素因
  • 肥満
  • 既存の肝疾患(影響は小さい)

LFT の結果を解釈する際には,以下の点に留意する88

  • 健常成人集団の 12%で,LFT のいずれか 1項目の値が正常基準範囲を外れている(高値または低値)。
  • 臨床的に重大な肝疾患患者の最大 10%は,LFT 値が正常である。
  • 個々の LFT 値は肝臓に特異的なものではないが,検査値の異常が 1 項目を上回ると,肝臓病理の可能性が非常に高くなる。
  • LFT の絶対値は,疾患重症度の指標としては貧弱である。

LFT のモニタリングに際して,

  • 理想的には,治療開始前にLFTを実施し「ベースライン」値を知っておくべきである。
  • LFT値が高くても正常基準範囲上限の2倍未満であれば,臨床的な重大性はほとんどない。
  • 薬剤に関係したLFT値上昇は,ほとんどが治療初期(最初の1ヵ月間)に一過性に生じる。これは肝機能障害そのものではなく,薬剤に対して肝臓が適応していることを示していると考えられる。体重の増加時に,LFT値が一過性に上昇することもある89。3倍を超える高いLFT値が持続する場合,検査値が上昇し続ける場合,あるいは臨床症状を伴う場合は,疑わしい薬剤の投与を中止すべきである。
  • 変化を追跡する際に生物学的変動や分析上の変動を除外するには,肝酵素の20%を超える変化が必要となる。

(高橋 希衣)

参照文献
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