モーズレイ処方ガイドライン第14版(The Maudsley PrescribingGuidelines inPsychiatry 14thEdition)menu open

認知症の身体症状に対するより安全な処方

認知症患者は,薬剤の認知機能に対する副作用の影響を受けやすい。薬剤はコリン,ヒスタミン,オピオイド神経伝達物質経路に対する作用や,さらに複雑な作用によって認知機能に影響を及ぼす可能性がある。身体疾患に対して処方される薬剤が,認知機能改善薬と相互作用を起こす可能性もある。

抗コリン薬

抗コリン薬はAChE-I1の有効性を低下させ,また鎮静,認知機能障害,せん妄,転倒の原因ともなる2。これらの影響は認知症高齢者ではより強く現れる3表 6.4では,英国で通常高齢者に処方される薬剤の抗コリン作用による認知機能への影響(AEC)についてまとめた4。抗コリン作用を持つ薬剤を複数併用すると,使用者における抗コリン作用の負荷が大きくなる。抗コリン作用の負荷総スコアが高いほど,MMSEスコアが低下し5,死亡率が上昇することを示す研究がある5, 6

高齢者で,特に認知障害がある場合には抗コリン作用の負荷を最小限(できれば負荷なし)に抑えることが望ましい。

可能であれば,治療効果が同等で抗コリン作用がない薬剤を使用すべきである。これが不可能な場合には,抗コリン作用が少ない薬剤または作用部位への特異性が高い(したがって中枢作用が最小になる)薬剤の使用が勧められる。血液脳関門を通過しない抗コリン薬は,認知機能への影響がより少ない7 。AEC 評価尺度ではこれらの要素がすべて考慮される。

AEC 評価尺度使用にあたっては,以下の推奨事項がある4


  • 認知障害,認知症またはせん妄の症状がみられる高齢者に対しては,AEC評価尺度スコアが2または3の薬剤はいずれも,
    • 投与を中止する,または
    • AEC評価尺度スコアがそれより低い代替薬(0が望ましい)に切り替える。
  • AEC評価尺度スコアが2または3の薬剤の投与は受けていないが,AEC評価尺度の総スコアが3以上になる患者は,該当する評価尺度にあたる薬剤と同様に患者と臨床医による見直しを行うべきである。
  • 投与中止が適切と考えられる場合,反跳作用(悪心,発汗,頻尿,下痢)を回避するために(可能であれば)緩やかに中止すべきである。

表6.4 抗コリン作用による認知機能への影響(AEC)スコア4(2020 年 10 月更新)

adcal ─ 0 クラリスロマイシン─NK ガバペンチン─ 0 ナプロキセン─ 0 シタグリプチン─ 0
アレンドロン酸─ 0 クレマスチン─ 3 ガランタミン─ 0 ニフェジピン─ 0 ソリフェナシン─ 1
alfuzosin ─ 0 クロミプラミン─ 3 Gaviscon―0 nimodipine―0 ソタロール─0
アリメマジン(trimeprazine)―3 クロナゼパム―NK グリクラジド―0 nitrofurantoin―NK スピロノラクトン―NK
アロプリノール―NK クロニジン―NK グラニセトロン―0 ノルトリプチリン―3 sulfasalazine―0
アルプラゾラム―0 クロピドグレル―0 ハロペリドール―0 オランザピン―2 スルピリド―0
alverine―0 クロザピン―3 ヘパリン―0 オメプラゾール―0 タモキシフェン―NK
アマンタジン―2 co-beneldopa―0 ヒドロクロロチアジド―0 オンダンセトロン―0 タムスロシン―0
amiloride―0 co-careldopa―0 ヒドロコドン―NK orlistat―0 temazepam―1
アミノフィリン―0 コデイン―NK ヒドロコルチゾン―NK orphenadrine―3 テトラサイクリン―0
アミオダロン―1 コルヒチン―NK ヒドロキシジン―1 oxcarbazepine―NK テオフィリン―0
amisulpride―0 co-tenidone―0 hyoscine hydrobromide
(スコポラミン)─ 3
オキシブチニン―3 チアミン―0
アミトリプチリン―3 シクリジン―1 hyoscine butylbromide
(ブスコパン)―1
オキシコドン―NK チオトロピウム臭化物(吸入剤)―0
アムロジピン―0 シプロヘプタジン―3 イブプロフェン―0 パリペリドン―1 チザニジン―NK
アモキシシリン―0 ダビガトラン―NK iloperidone―1 pantoprazole―0 tolcapone―0
アナストロゾール―NK darifenacin―0 イミプラミン―3 paracetamol(アセトアミノフェン)―0 トルテロジン―2
アピキサバン―NK desipramine―2 インダパミド―0 パロキセチン―2 トピラマート―NK
アポモルヒネ―0 デキサメタゾン―NK インスリン―0 ペニシリン―0 トラマドール―0
アリピプラゾール―1 dexamfetamine
(dexamphetamine)―0
イプラトロピウム臭化物―0 ハッカ油―0 トラゾドン―0
アスピリン―0 dextropropoxyphene– NK イルベサルタン―NK ペルゴリド―0 trifluoperazine―2
アテノロール―0 ジアゼパム―1 isocarboxazid―1 ペリンドプリル―0 トリヘキシフェニジル(benzhexol)―3
アトモキセチン―0 ジクロフェナク―0 硝酸イソソルビド―0 ペルフェナジン―1 トリメトプリム―0
アトルバスタチン―0 dicycloverine(ジサイクロミン)―2 一硝酸イソソルビド―0 ペチジン―2 トリミプラミン―3
アトロピン―3 ジゴキシン―NK ketorolac―0 phenelzine―1 trospium―0
アトロピン点眼液―1 ジヒドロコデイン―NK ラベタロール―0 フェニトイン―NK バルプロ酸―0
アザチオプリン―0 ジルチアゼム―0 ラクツロース―0 ピモジド―2 ベンラファキシン―0
バクロフェン―NK ジメンヒドリナート―2 ラモトリギン―0 ピレンゼピン―1 ベラパミル―NK
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
(吸入剤)―0
ジフェンヒドラミン―2 ランソプラゾール―NK プラバスタチン―0 ビタミンB12―0
bendroflumethiazide―0 ジピリダモール―0 lercanidipine―0 プラゾシン―0 ビタミン―0
benztropine―3 ジソピラミド―2 レベチラセタム―NK プレドニゾロン―1 ボルチオキセチン─ 0
ベタヒスチン―0 ジオクチルソジウムスルホサクシネート─ 0 レボドパ―0 プレガバリン―NK ワルファリン─ 0
ベザフィブラート―0 ドンペリドン―1 レボメプロマジン
(methotrimeprazine)―2
プロクロルペラジン―2 ziprasidone―0
ビサコジル―0 ドネペジル―0 レボチロキシン(thyroxine)―0 procyclidine―3 ゾルピデム―0
ビソプロロール―NK dothiepin(ドスレピン)―3 リラグルチド―0 promazine―2 ゾピクロン―NK
ブロモクリプチン―1 ドキサゾシン―0 リシノプリル―0 プロメタジン―3 ゾテピン―2
ブデソニド(吸入剤)―0 doxepin―3 リチウム―1 プロパンテリン―2 zuclopentixol
(zuclopenthixol)―1
ブメタニド―NK ドキシサイクリン―0 ロフェプラミン―3 プロプラノロール―0  
ブプレノルフィン―0 デュラグルチド―0 ロペラミド―0 クエチアピン―2  
bupropion―0 デュロキセチン―0 ロラタジン―0 キニジン―1  
buspirone―1 エナラプリル―0 ロラゼパム―0 キニーネ―1  
カベルゴリン―0 エノキサパリン―0 ロサルタン―0 ラベプラゾール―0  
カルシウム―0 エンタカポン―0 lovastatin―0 ramipril―NK  
カルシウムおよびビタミンD―0 エリスロマイシン―NK ルラシドン─ 0 ラニチジン―0  
カンデサルタン―0 エキセナチド―0 マクロゴール―0 ラサギリン―0  
カプトプリル―NK エゼチミブ―0 マグネシウム―0 reboxetine―0  
carbachol―0 フェロジピン―0 mebeverine―0 リセドロン酸―0  
カルバマゼピン―1 フェンタニル―1 メラトニン─ 0 リスペリドン―0  
carbimazole―NK 硫酸鉄―0 メロキシカム―0 リバーロキサバン―NK  
カルボシステイン―0 フェソテロジン―0 メマンチン―0 リバスチグミン―0  
カルベジロール―NK フェキソフェナジン―0 メサラジン―0 ロピニロール―0  
セファレキシン(cephalexin)―0 フィナステリド―0 メトホルミン―NK rosiglitazone―0  
セチリジン―0 フラボキサート―NK メトカルバモール―NK ロスバスタチン―NK  
抱水クロラール―NK フレカイニド―0 メトトレキサート―NK サルブタモール―0  
クロルジアゼポキシド―0 flucloxacillin―0 メトクロプラミド―0    
クロルフェニラミン―2 フルドロコルチゾン―NK メトプロロール―0 サルメテロール(吸入剤)―0  
クロルプロマジン―3 fluoxetine―1 ミダゾラム―1 セレギリン―0  
chlortalidone―NK flupentixol(flupenthixol)―1 ミノサイクリン―0 センナ―0  
シメチジン―0 フルフェナジン―1 ミラベグロン―0 sertindole―1  
cinnarizine―1 フルボキサミン―0 ミルタザピン―1 セルトラリン―1  
シプロフロキサシン―0 葉酸―0 moclobemide―0 シルデナフィル―0  
citalopram―1 フロセミド―0 モルヒネ―0 シンバスタチン―0  

AEC評価尺度はウェブ上で利用できるアプリケーションであり,定期的に更新されている(www.medichec.com)。このウェブサイトは最近更新され,浮動性めまいと傾眠を引き起こすことが報告されている薬剤の表示が追加された。これらの副作用は高齢者の認知機能障害および錯乱に併発することがあり,それによって転倒のリスクが高くなりうるためである。

認知症患者の身体疾患に対して処方される薬剤の安全性

尿失禁に対する抗コリン薬

オキシブチニンは容易にCNSに浸透し,認知機能悪化を伴うことが一貫して示されている。トルテロジンの試験ではCNSに対する副作用はみられなかったが8,症例報告では,記銘力低下,幻覚,せん妄等の副作用が記述されている9-11。対照的に,M3 選択的受容体拮抗薬であるdarifenacinの認知機能に対する作用について,健常高齢者を対象に評価したところ,プラセボと比較して認知機能検査での有意な効果はみられなかった12, 13。しかし,認知症を対象とした試験はない。ソリフェナシンは作業記憶を低下させる可能性があることが示されているが14,この結果は脳卒中患者を対象としたものであり,短期的認知機能には影響はなかった15trospium については,CNSに対する副作用が一部症例で報告されているが16,複数の試験では認知機能に有意な変化が認められなかった17, 18フェソテロジン が認知障害を起こすかどうかを評価する試験では,様々な認知機能尺度で検出可能な認知障害は認められなかった(表6.519, 20

表 6.5 尿失禁に対する抗コリン薬の物理化学的特徴14, 25(許可を得て編集 26

薬剤 ムスカリン
受容体
(M3:M1
親和性の比率)
極性 親油性 分子量(kDa) P-gp基質となるかどうか 血液脳関門を通過する理論的な可能性 認知機能に対する作用
darifenacin 主にM3
(9.3:1)
中性 高度 507.5
(比較的大きい)
基質となる 高い
(膀胱選択性でP-gp基質である)
フェソテロジン 非選択的 中性 極めて低い 411.6 基質となる 極めて低い -
オキシブチニン 非選択的 中性 中等度 357
(比較的小さい)
基質とはならない 中等度/高い +++
ソリフェナシン 主にM3
(2.5:1)
中性 中等度 480.6 基質とはならない 中等度 -/+
トルテロジン 非選択的 中性 低い 475.6 基質とはならない 低い
trospium chloride 非選択的 正に帯電 脂溶性ではない 428 基質となる ほとんど通過しない

-:認知機能に対する副作用の報告がないことを示す。
+:認知機能に対する副作用の報告がいくらかあることを示す。
+++:認知機能に対する副作用が一貫して報告されていることを示す。

オキシブチニン,トルテロジン,ソリフェナシン,フェソテロジン,darifenacin等の第三級アミンは,シトクロムP450(CYP450)酵素で代謝される。加齢またはこれらの酵素を阻害する薬剤(エリスロマイシン,fluoxetine等)の併用は,血清中濃度を上げ,副作用を増加させる可能性がある。trospium の代謝は不明であるが,CYP450を介する代謝ではなく,薬物動態学的相互作用の可能性は低いと考えられる8

尿閉に対するα遮断薬

タムスロシンalfuzosinプラゾシン等のα遮断薬は,傾眠,浮動性めまい,抑うつを引き起こすことがある21。α遮断薬の認知機能に対する作用の既報文献はないものの,α遮断薬は認知機能に対する抗コリン作用の負荷リストでも特記事項がない。

消化器疾患に使用する薬剤
ロペラミド

ロペラミドにはいくらかの抗コリン作用がある可能性があるが,認知症患者の認知機能を悪化させるおそれを示唆するデータはない。ただし他の抗コリン薬と併用すると,認知機能への抗コリン作用の負荷が増す可能性がある。

緩下薬

緩下薬が認知機能に何らかの悪影響を及ぼすことを示唆するエビデンスはない。実際には,便秘はせん妄および行動・心理症状(BPSD)を招くおそれがあるので,便秘の治療によりそれらの症状が改善することがある。

制吐薬

シクリジンは第一世代のヒスタミン拮抗薬であり,認知および精神運動能力を悪化させるおそれがある(抗ヒスタミン薬に関する項を参照)22

メトクロプラミドにはほとんど抗コリン作用がないが,メトクロプラミドとプロクロルペラジンにはD2受容体拮抗作用があり,運動障害が生じる可能性があるため,認知症患者には極めて慎重に投与しなければならない。

ドンペリドンはドパミンD2受容体拮抗薬で,通常は血液脳関門を通過することはない。ただし認知症では血液脳関門が変化している場合があり,ドンペリドンがCNSに入り副作用を起こす可能性がある23。最近の報告では,特に高齢者においてドンペリドンによる重篤な心副作用のリスクがわずかに高まるとされている。最大投与量は30mg/日となっており,最長でも1週間の投与にとどめるべきである。現在,ドンペリドンは心臓の基礎疾患または重度の肝機能障害がある患者,およびQT間隔を延長するその他の薬剤やCYP3A4を強力に阻害する薬剤を使用している患者には禁忌となっている24

化学療法誘発性の悪心や嘔吐に使用するセロトニン5-HT3受容体拮抗薬には,認知機能に対する副作用はなく,いくらかの認知機能増強作用の可能性がある27。これらの薬剤には心血管に関する警告があり,心血管疾患が併存する患者,不整脈を誘発する薬剤やQT間隔を延長する薬剤を併用している患者には慎重に使用すべきである。グラニセトロンは1日1回の投与でよいので,記憶や嚥下に問題がある高齢者では好ましい。グラニセトロンは1種類のCYPファミリー(CYP3A4)のみで代謝されるので,薬物相互作用の可能性も低い28。すべての 5-HT3拮抗薬は便秘を起こす。

鎮けい剤

hyoscine hydrobromide(スコポラミン)は中枢に作用する脂溶性の抗コリン薬で,血液脳関門を容易に通過する。このため,記憶,処理速度,注意力を悪化させる。高齢者では低用量でもこうした症状が起き,錯乱や幻覚が起こりやすい29。年齢が一致した健常対照と比較すると,アルツハイマー病患者では低用量でも臨床的に重大な認知機能障害が起こる3。hyoscine が認知機能に与える影響は重大であり,試験では認知症でみられるのと同様の記憶欠損を惹起するために使用されるほどである(スコポラミン負荷試験)30。認知症患者にこの薬剤を使用する妥当な理由はほとんどない。

hyoscine butylbromide(ブスコパン)は,消化管平滑筋に対して局所的な鎮けい作用を有する。hyoscine butylbromide はCNSには入らないようで,中枢に対する抗コリン性の副作用は非常に稀である31

alverinemebeverineハッカ油は,腸平滑筋の弛緩薬であり,認知機能に影響はない。

気管支拡張薬
β作動薬

パーキンソン病や本態性振戦が併存している患者では,β作動薬による振戦を誤診し,パーキンソン病を過剰治療してしまう可能性がある32。振戦はコリンエステラーゼ阻害薬で多くみられる副作用なので,β作動薬と併用する場合には注意すべきである。

抗コリン性気管支拡張薬

吸入の抗コリン薬は,経口薬に比べて全身的な副作用がほとんどない32。イプラトロピウムとテオフィリンを比較した無作為化二重盲検プラセボ対照試験では,いずれの薬剤でも高齢者の心理検査の結果に悪影響は認められなかった。このことは,吸入イプラトロピウムが高齢者での重大な認知機能障害とは関連しないことを示唆している33

テオフィリン

コリンエステラーゼ阻害薬と同様に,テオフィリンでは副作用として悪心と嘔吐がよくみられる。テオフィリン投与患者の50%で,頭痛,不安,行動障害,抑うつ,けいれん発作等の神経学的副作用が起こる可能性がある。けいれん発作は稀であるが,高齢者では起こる可能性がはるかに高くなる。テオフィリンが重大な認知機能障害を起こすことはない33

流涎

流涎に使用する経口抗コリン薬(例:hyoscinehydrobromide)は,認知機能障害,せん妄および便秘のリスクがあるため,高齢者では避けるべきである(抗コリン薬および鎮けい剤に関する項を参照)。ピレンゼピンは M1, M4 ムスカリン受容体に対する比較的選択的な拮抗薬であり,血液脳関門を通過しないので,CNSに入ることはほとんどない34

アトロピン液剤は,流涎制御のために舌下で投与するかまたは口内洗浄液として使用することがある。これらの経路で投与されたアトロピンがどの程度血液脳関門を通過するのかに関しては,データがない。

重症筋無力症(MG)

ADで使用するAChE-I(ドネペジル,リバスチグミン,ガランタミン)とは異なり,重症筋無力症(MG)で使用するAChE-I(ピリドスチグミンネオスチグミン)は,末梢に作用するため,血液脳関門を通過することはない(したがって中枢に対する望ましくない作用を最低限に抑えられる)35。AChE-Iで末梢作用性のものと中枢作用性のものが併用されると,コリン様副作用負荷が増悪する可能性がある(例:悪心,嘔吐,下痢,腹部けいれん,唾液分泌亢進)。MGとADに対する薬剤の併用によるコリン様作用に忍容性がなかった場合には,コリンエステラーゼ阻害薬の代替としてメマンチンが考えられる。

鎮痛剤
NSAIDs および paracetamol

paracetamol(アセトアミノフェン)は安全な薬剤であり,過量投与でせん妄が起こる可能性を除けば認知機能障害を起こすというエビデンスはない36。アスピリンの慢性的使用で錯乱状態が起こりうるとする,いくらかのエビデンスがある37。NSAIDs がせん妄と精神病を起こすことを示唆した症例報告があるが38,臨床試験では,ナプロキセン39やインドメタシン40に,認知機能に対する有意な副作用はみられなかった。NSAIDsは心血管リスク,消化管出血リスクがあるため,高齢者で使用するのは難しい41。NSAIDs 処方の際には消化管出血リスクを下げるために,胃保護作用のある薬剤を併用するか,局所NSAIDs(臨床的に適切な場合)の使用を検討することが推奨される。

オピオイド

鎮静は,すべてのオピオイドで発生しうる問題である42。オピオイド誘発性せん妄は,激越,幻覚,妄想を伴う場合がある42ペチジンは,代謝物に抗コリン作用があり,腎機能障害があると急速に蓄積され,認知機能障害のリスクが高い43コデインは転倒リスクを上昇させ,トラマドールとコデインは薬物相互作用のリスクが高く,また,反応や副作用に大きな差がある44フェンタニル貼付剤は有用な場合もあるが,貼付剤は除去した後でも長時間作用が継続し,副作用が起こった場合に治療が困難となるため44,脆弱な高齢者にはオピオイド鎮痛剤のなかで選択すべきではない45モルヒネは非常に有効性の高い鎮痛剤であるが,高齢者では認知機能障害等の副作用を起こしやすい46。 他のオピオイドと比較すると,オキシコドンは半減期が短く,薬物相互作用もほとんどなく,用量反応関係の予想が容易である。したがって,少なくとも理論的には,認知症に対する経口鎮痛剤としてはよい選択肢といえる44。しかし,依存と誤用に関して重要な問題があるため,常用に警戒すべきである。ブプレノルフィン経皮貼付剤は,おそらく他の多くのオピオイドより副作用が少ない。

抗ヒスタミン薬

第一世代の H1抗ヒスタミン薬としては,クロルフェニラミンヒドロキシジンシクリジンプロメタジンがある。これらは非選択的で,抗コリン作用があり,血液脳関門を容易に通過し,認知機能に望ましくない副作用が起こるおそれがある。認知機能や精神運動機能を損ない,けいれん発作,ジスキネジア,ジストニア,幻覚を起こす可能性がある。第二世代のH1抗ヒスタミン薬(例:ロラタジンセチリジンフェキソフェナジン)はCNS透過性が乏しく,こうした副作用を起こす可能性はかなり低い。さらにこれらの薬剤には抗コリン作用はない22

スタチン

コクラン・レビューでは,認知症治療におけるスタチンの臨床的有効性と忍容性を評価しており47,認知機能に対する有意な改善効果は認められなかったが,認知機能に有害であるとのエビデンスもなかった。初期の症例報告では,スタチン使用に伴う記憶喪失という自覚症状が注目されていた48。これは投与開始から2ヵ月以内に起こる傾向があり,シンバスタチンでの報告が多かった。シンバスタチンで認知機能に問題が生じた場合には,まずシンバスタチンを中止し,これで問題が解決したら,血液脳関門を通過する可能性が低いアトルバスタチンまたはプラバスタチンを試してみる価値があるかもしれない。最近のコクラン・レビュー49では認知症予防におけるスタチンの有効性を評価し,血管疾患のリスクを有する患者に対して老齢期にスタチンを投与しても認知機能低下および認知症を予防しないと結論付けられている。

降圧薬

中年期に高血圧があると認知機能に悪影響があり,認知症発症のリスクが高まる50。高血圧の治療で,認知機能が悪化することを示すエビデンスはない。高血圧の治療は全般的認知機能には良い影響を及ぼすようで,長期間の高血圧の治療は認知症のリスクを低下させる可能性がある51, 52。

心疾患に対するその他の薬剤

ジゴキシンは,治療濃度での急性錯乱状態との関連があるとされる53。また,悪夢も報告されている54。しかし1件の研究では,ジゴキシンで心不全を治療すると25%の患者で認知機能が改善したと報告されている(心不全がなかった患者では23%)55。アミオダロンとせん妄との関連を指摘する症例報告がいくつかある56, 57

H2受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害薬(PPI)

H2受容体拮抗薬(例:シメチジン,ラニチジン,ファモチジン)は最近ほとんど使用されていない。シメチジンはいくつか薬物動態学的相互作用を起こす。ラニチジン製剤はNDMA(N-ニトロソジメチルアミン)の汚染の可能性から自主回収された。NDMAは特定のがん発現の可能性がある危険因子として同定されている。ファモチジンは依然として使用されている。これらの薬剤に対するCNS反応は,特にシメチジンに関して報告されている58。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の観察データを検討した1件の研究では,PPIの使用と認知症の発症との間に関連が認められた。これは,一次データに関する薬剤疫学解析によって支持され,PPIの使用によってマウスの脳内β-アミロイド濃度が上昇した動物試験の結果とも一致している59。この関係を実証するには無作為化前方視的臨床試験が必要である。PPIを使用している多くの患者の胃粘膜でヘリコバクター・ピロリ感染が認められる。ヘリコバクターは以前から認知機能悪化との関連が報告されてきた。このメカニズムが背後にあることによって,PPIと認知症の間に一見関連があるようにみえている可能性がある。さらに,PPIと認知症の間の関連は他の研究では再現されなかった60, 61

抗生物質

多くの抗生物質とせん妄が関連しているという報告があるが62, 63,認知機能障害を引き起こすパターンは一貫していない。しかし認知症における感染症治療の重要性を考えれば,当該感染に最も適切な抗生物質を使用すべきである。抗結核治療薬,特にイソニアジドには,精神的な副作用を起こしたという症例報告がいくつかある(表6.664

表6.6 認知症で推奨される薬剤と避けるべき薬剤(許可を得て編集26

症状 薬剤クラス・薬剤名 認知症で避けるべき薬剤 認知症で推奨される薬剤
アレルギー症状 抗ヒスタミン薬 クロルフェニラミン
プロメタジン
ヒドロキシジン
シプロヘプタジン
シクリジン
(およびその他の第一世代抗ヒスタミン薬)
セチリジン
ロラタジン
フェキソフェナジン
(およびその他の第二世代抗ヒスタミン薬)
喘息/COPD 気管支拡張薬   β作動薬
吸入抗コリン薬
(認知機能に影響があるという報告はない)
テオフィリン
便秘 緩下薬 緩下薬が認知機能に悪影響を与えるというエビデンスはない
便秘自体が認知機能を悪化させる場合がある
下痢 ロペラミド 低力価抗コリン薬。認知機能に対する作用は不明だが,他の抗コリン薬と併用すると認知機能への抗コリン作用の負荷が増す可能性がある
高脂血症 スタチン   どのスタチンも安全であるが,アトルバスタチンとプラバスタチンは血液脳関門を通過する可能性がより低い
流涎 抗コリン薬 hyoscine hydrobromide ピレンゼピン
アトロピン(舌下)
高血圧 降圧薬 β遮断薬(避けることが常に可能とは限らない) カルシウムチャネル遮断薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬はすべて,認知機能を改善する可能性がある
感染症 抗生物質 せん妄は大半がキノロン系およびマクロライド系抗生物質で報告されている
しかし感染症治療の重要性を考えれば,感染に対して最も適切な抗生物質を使用すべきである
重症筋無力症 末梢アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例:ネオスチグミン,ピリドスチグミン) 認知症患者では,中枢に作用するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例:ドネペジル)のコリン性副作用に相加されるおそれがある(悪心や嘔吐のリスク増加等)
悪心/嘔吐 制吐薬 シクリジン
メトクロプラミド
プロクロルペラジン
ドンペリドン(制限については本文を参照)
セロトニン5-HT3受容体拮抗薬
その他の消化器症状 鎮けい剤 アトロピン硫酸塩
dicycloverine hydrochloride
alverine,mebeverine,ハッカ油,hyoscine-n-butylbromide,プロパンテリン臭化物
疼痛 鎮痛剤 ペチジン
ペンタゾシン
dextropropoxyphene
コデイン
トラマドール
メサドン
paracetamol(アセトアミノフェン)
オキシコドン
ブプレノルフィン
局所 NSAIDs(適切な場合)
フェンタニル貼付剤(オピオイドを使用したことのない患者では注意が必要である)
モルヒネ(治療抵抗性疼痛や緩和ケアで適応となる場合があるが,認知機能低下やその他の副作用があるので慎重に使用する)
頻尿 過活動膀胱に使用する抗コリン薬 オキシブチニン
トルテロジン
darifenacin
trospium
ソリフェナシン(他に使用できる薬剤がない場合に使用する。認知機能への副作用があるという報告がいくつかある)
フェソテロジンに関するデータはまだないが,選択性がなく,中枢で強い抗コリン作用を有する。理論的には血液脳関門を通過する可能性は非常に低い
尿閉 α遮断薬 認知機能に対する作用は不明である

COPD:慢性閉塞性肺疾患,NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬


<編集協力者コメント>

本邦において高齢者は,複数の医療機関に通院していることが珍しくないため,各医療機関での処方内容を都度確認することが重要である。

(辻井 崇)

参照文献
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