モーズレイ処方ガイドライン第14版(The Maudsley PrescribingGuidelines inPsychiatry 14thEdition)menu open

Chapter 3 Depression and anxiety disordersうつ病と不安障害

うつ病─序論

うつ病は,公衆衛生上の大きな問題として世界で広く認識されている。うつ病治療の中心は抗うつ薬であるが,うつ病でも軽度の場合は,抗うつ薬治療に代わる第一選択療法として心理療法が行われている1。うつ病に対しては,その他の治療法[迷走神経刺激(VNS)2,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)3等]も行われているが,まだ広く普及していない。

本Chapterでは,処方の基本原則(表3.1),およびNICEによるガイドラインの要約を記述する。

表3.1 うつ病における処方の基本原則

  • 薬剤の選択,および薬物療法以外の治療法の実用性や手段について患者と話し合う。
  • 数週間で少しずつ抑うつ症状が軽減していく等,今後の見通しについて患者と話し合う。
  • 有効であると考えられる用量(必要に応じて調整)の抗うつ薬を投与する。
  • 単一エピソードの場合,症状が消失した後は少なくとも 6-9ヵ月間治療を継続する(反復性エピソードの場合はより長期的な治療が必要なこともある)。
  • 抗うつ薬の減量は徐々に行う。患者には中断症状のリスクや起こりうる症状等の情報を提供する。

(桐野 創)