モーズレイ処方ガイドライン第14版(The Maudsley PrescribingGuidelines inPsychiatry 14thEdition)menu open

認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応

認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)には,攻撃性,激越,発声,介護時の苦痛,脱抑制,幻覚,妄想,無感情,気分低下,不安等の幅広い障害が含まれる1。程度は様々であるものの,このような症状が90%を超える認知症患者に生じている2。個々の患者に数種類の症状が同時に発現するため,特定の症状を治療の標的に絞ることは困難である。このような症状に対する薬物療法は,頑健な科学的エビデンスに支えられているわけではなく3,また,現在使用できる薬剤の多くには重篤な副作用がある。

薬物療法以外の手段

英国でThe use of antipsychotic medication for people with dementia: Time for action(認知症における抗精神病薬使用に伴うリスクについて詳述されている)が発行されて以来4,抗精神病薬に関するエビデンスの見直しと,BPSDに対する薬物療法以外の治療方針の構築に向けた動きが高まっている。システマティック・レビューが完了し5,新たなケアモデルの開発6, 7とガイダンスの作成8が行われた。主要なテーマには以下がある。

  1. 画一的な治療アプローチの適用ではなく,個別化され,状況に応じた治療アプローチ。
  2. 必ず,症状に関係している身体的要因に最初に対処する。このような要因には疼痛(以降の項を参照),急性身体疾患,便秘および薬剤の副作用(本Chapterの「認知症の身体症状に対するより安全な処方」の項を参照)等がある。
  3. 「問題行動」を苦痛およびアンメット・ニーズの現れとして理解することの重要性6, 7
  4. アンメット・ニーズが何であるかを理解し,治療法変更の情報を伝えるための,生活史,患者が受けているケアの直接の観察,[睡眠,疼痛,ADL/BPSD/認知機能(ABC)分析等の]情報収集の活用8
  5. 行動的症状の発症要因や持続要因のモデルを作成するための症例概念化ミーティング。モデルは新たな所見があれば,それに応じて修正してもよい。
  6. 上記のプロセスで確認されたアンメット・ニーズに対処するために介護者とともに策定した,明確かつ状況に応じたケア計画。
  7. ケア計画は,試した治療法の効果に応じて見直しと調整を行う。

研究で合理的に十分に裏付けられているBPSDを管理するための構造化された社会心理的介入法が,他にもいくつかある9, 10。このような介入法は,個別化されたケア計画の一環として検討することが有用であるが,介護者を支援し,介護者の技能を伸ばすことによって実施されれば,有用性はさらに高くなる。個々の患者の行動に焦点を当てた行動管理法や介護者の心理教育は一般に効果が高く,しかも何ヵ月も持続しうることが明らかにされている11

複数のシステマティック・レビューを対象としたシステマティック・レビューが12 ,これらの介入法についてのエビデンスの概観を示している。複数ある感覚刺激療法のうち,(激越と攻撃的行動を抑制する)唯一の説得力のある有効な介入法は音楽療法であった。良好に実施された研究13(71 例)では,レモンバームの使用により,激越および行動的症状の尺度に好ましい影響を及ぼしたことが報告されているものの,手法上の制限からこの結果は再現されていない12アロマセラピーマッサージ療法の有効性は,いまだ実証されていない。光療法およ び Snoezelen 多重感覚刺激療法は有意な効果が示されなかった。回想法,simulated presence therapyバリデーション介入法等の認知/感情を重視した介入法の有効性を示すエビデンスは十分ではない。医学的介入法,精神医学的介入法,看護的介入法を組み合わせた総合的かつ包括的な多職種アプローチを用いる複合的介入法は,介護施設入居患者の重度の問題行動を減少させるのにより有効である可能性がある。動物介在療法や運動療法等の他の介入法はいかなるBPSDにも説得力のある有効性を全く示さなかった12

要約すると,個々のアンメット・ニーズによって治療を個別化する複合的介入法は,「画一的な」介入法のルーチンな使用より有用である可能性が高い。

推奨:薬物療法以外の,個別化され,介護者と緊密に協力した,エビデンスに基づいた複合的介入法は,BPSDの第一選択である。激越を緩和するという音楽療法の有効性を示すエビデンスはいくつかある。

薬物療法

鎮痛剤

認知機能障害がある患者では,疼痛が激越として現れることがあるので,未診断の疼痛を治療することが,激越の管理に有用となる可能性がある14。1 件のRCTでは,中等度から重度の認知症で激越を伴う患者への鎮痛剤の段階的投与の効果を検討したところ,激越,全体的な神経精神症状および疼痛が有意に改善した。この試験では大多数の患者がparacetamol(アセトアミノフェン)のみの投与を受けた。

認知症患者における激越に対するオピオイドの臨床的有効性と安全性を検討したコクラン・レビューでは15,オピオイドとプラセボを比較したRCTによるエビデンスは,この患者集団におけるオピオイドの臨床的有効性と安全性を確立するには不十分とされている。

推奨:疼痛を評価し有効な治療を行うことが重要である。明らかな疼痛のない患者でも鎮痛剤(通常,paracetamol)を試す価値がある。
BPSD に対する抗精神病薬

抗精神病薬は,かつては認知症に伴う行動障害に広く使用されていたが16,現在ではその使用に異論も多い17, 18。これには3つの理由がある。効果量が小さいこと19-22,忍容性が不良であること22-24,死亡率上昇との関連があること25 である。それにもかかわらず,抗精神病薬はBPSDの介入法として多数の研究の対象とされてきた。

定型抗精神病薬は,BPSDに対する明確な有効性が示されていないが(ハロペリドールを除く),非定型抗精神病薬はいくらか有効性を有する。1件の比較有効性レビューによると,最も有効な抗精神病薬としてリスペリドン(精神病,激越,BPSD全般),オランザピン(激越),アリピプラゾール(BPSD全般)等が示された。クエチアピンは一般的に使用されているが,比較的高用量(100-200mg/日)の場合を除いてBPSDでの有効性は示されておらず,高用量は忍容性があまり良好ではない可能性がある。BPSDを呈する患者を対象とし,リスペリドン,オランザピン,クエチアピンとプラセボを比較したCATIE-AD試験では,リスペリドンおよびオランザピンの有効性が示されたが,患者の大半は副作用により服用を中止した26

AD の攻撃性や精神病症状に対する非定型抗精神病薬について検討した2006年のコクラン・レビュー27 では,リスペリドンとオランザピンは攻撃性の減弱に有用であり,リスペリドンは精神病性の症状を軽減すると結論付けられた。しかし著者らは,有効性はさほど大きくなく,副作用が有意に増大することから,重度の苦痛を伴う場合や,患者の同居者や介護者に重大な身体的危害が及ぶおそれがある場合を除き,リスペリドンもオランザピンも認知症患者の治療に対してルーチンに用いるべきではないと結論している。

抗精神病薬投与に伴う認知症患者の死亡率上昇

英国と米国では,2004年に行われた既発表データおよび未発表データの解析結果を受けて,一部の第二世代抗精神病薬(SGA)(主にリスペリドンとオランザピン)による認知症患者の死亡率上昇について警告が発表された28-30。その後,この警告は,すべてのSGA,従来型抗精神病薬まで拡大され30, 31,現在はすべてのFGA,SGAの添付文書に,脳血管イベント(CVAE)のリスクの可能性について警告が追記されている。

いくつかの研究では,抗精神病薬を使用する高齢者のCVAEリスクは累積的ではない可能性が示唆された32, 33。リスクは投与開始後最初の数週間で上昇し,その後は時間とともに低下し,3ヵ月後には治療前のレベルに戻った。これに対し,ある長期研究(24-54ヵ月)では,プラセボ群に比べ抗精神病薬治療群(リスペリドンとFGA)では死亡率が時間の経過とともに次第に上昇するという結論となった34。しかしこの見解は現在広く支持されてはいない。

数件の研究で,それぞれの抗精神病薬の死亡リスクが異なるかどうかが比較されている35-38。概して,ハロペリドール使用患者の死亡リスクが高く,クエチアピン使用患者は死亡リスクが低かった。オランザピン,アリピプラゾールおよびziprasidone35 (またはバルプロ酸36)に臨床的に意義のある差は認められなかった。効果は治療直後が最大であり,用量調節後にも認められた。クエチアピンを除いたすべての薬剤で用量反応関係があった35。別の試験37 では,抗精神病薬の新規使用者を対象に,抗精神病薬14剤のリスペリドンに対する死亡の補正後ハザード比が検討された。死亡率はリスペリドンと比較して,ハロペリドール,レボメプロマジン,zuclopenthixolでは上昇し,melperoneではやや上昇した。クエチアピン,オランザピン,クロザピン,flupenthixolで死亡リスクが低下した。amisulprideでは死亡リスクに統計学的有意差は認められなかった。

17 件の研究(患者5,373例)を対象とした2019年のネットワークメタ解析によると,アリピプラゾール,オランザピン,クエチアピン,リスペリドン間では,有効性および安全性に有意な差は認められなかったが,プラセボとの比較では一部の薬剤で転帰に差が認められた39

抗精神病薬に伴うCVAEの原因については,複数の機序が推測されている40。脳循環不全やアテローム性動脈硬化の患者では,起立性低血圧によって脳灌流が悪くなることがある。心房細動がある患者では,頻脈によって脳灌流量が減少したり,血栓が脳へ移動したりする可能性がある(Chapter10のAFにおける向精神薬についての項を参照)。起立性低血圧が生じると,反動としてカテコールアミンが過剰になり,血管が収縮し,脳循環不全が悪化する可能性がある。さらに,高プロラクチン血症は理論的にはアテローム性動脈硬化を加速させ,鎮静は脱水や血液濃縮を起こすことがある40。ある研究32 では,M1 受容体およびα2受容体との親和性が脳卒中に対する作用の予測因子であることが示唆されている。

CVAE および死亡に関連する個々の患者特性と,治療中に発生した危険因子を明らかにするため,リスペリドンの臨床試験データの検討が最近行われた41。リスペリドン投与患者では,ベースラインの抑うつおよび妄想の併存が,CVAEの相対リスクの低下と関連していた。ベースラインにおける死亡の有意な予測因子は抑うつのみであり,抑うつは相対リスクの低下と関連していた。死亡の相対リスクは,リスペリドン投与患者が抗炎症薬を併用している場合に上昇した。定型抗精神病薬42 と非定型抗精神病薬43 ではいずれも,認知症における認知機能低下を促進する可能性があるが,これを否定するエビデンスがいくつかある44-46

推奨:重度の攻撃性や精神病が認められる一部の症例に対しては,リスペリドン(ADの持続的な攻撃性に対して承認済み)とオランザピンの使用が許容される場合がある。ただし効果はあまり期待できない。処方する場合には,定期的な見直しが推奨される。
認知症に抗精神病薬を使用する場合の臨床情報

抗精神病薬は,認知症患者の激越および攻撃性の治療のためにルーチンで使用すべきではない47

英国では,認知症の認知機能障害以外の症状に対して承認されているのはリスペリドン(とハロペリドール)のみである。ハロペリドールには重篤な副作用があるため,リスペリドンが第一選択となる。具体的には,中等度から重度のAD患者に持続的な攻撃性がみられ,薬物療法以外の方法が無効であり,自傷他害のリスクのある場合に,短期治療(最長6週間)で適応となる48。リスペリドンの認知症での最適用量は0.5mgを1日2回(1mg/日)であることが確認されているが50,承認されている用量は最高で1mgを1日2回である49

リスペリドンが禁忌の場合や忍容性がない場合には,別の抗精神病薬が使用できるかもしれない(適応外使用)。オランザピンは認知症の攻撃性に対していくらか有効であるとのデータがあり27(認知症に対するamisulprideの有効性と忍容性を検討する研究が現在行われている)51, 52,クエチアピンは(リスペリドンやオランザピンほど有効ではないが)運動障害を起こす傾向が低いため,パーキンソン病患者やレビー小体型認知症患者には,(非常に低用量での)投与を考慮してもよい。

抗精神病薬を処方する前に必ず以下を実施する。

  • (高血圧,糖尿病,喫煙,心房細動,脳卒中の既往を含む)脳血管リスクに配慮し,慎重にリスク評価を行う。
  • 起こりうるリスクとベネフィットについて介護者(および意思決定能力がある場合には患者)と話し合う
  • 上記の話し合いについて明確に記録する47

抗精神病薬を処方する場合には,ベースライン,投与開始の 3 ヵ月後,その後は1年に1回,以下の検査を行うことが推奨される。

  1. 血圧および脈拍
  2. 体重(最初の3ヵ月は毎月のモニタリングが理想)
  3. 血液検査
    1. 空腹時血糖値または HbA1c
    2. 尿素と電解質(U&E)[推算糸球体濾過量(eGFR)を含む]
    3. 全血球数(FBC)
    4. 脂質(可能であれば空腹時)
    5. 肝機能検査(LFT)
    6. プロラクチン値
  4. 心電図(4週間後から3ヵ月後の間,または臨床的に適応がある場合には繰り返し行う)
  • 入院患者や身体的に脆弱な患者では,身体的な健康状態のモニタリングの回数を増やす必要があるかもしれない。
  • 抗精神病薬は4-6週目(入院患者ではより早い時期に),3ヵ月目に見直し,その後は身体状態が安定しており副作用がない場合には6ヵ月に1回見直す必要がある。見直しのたびに,必要に応じて抗精神病薬の投与中止を検討する(表6.7参照)。
  • 時には,患者の激越や抵抗が強いため,または緊急の状況により推奨された検査を行うのが困難な場合がある。このような場合は,リスク・ベネフィット分析を再度実施し,検査を行わないことによって抗精神病薬を処方するリスクがいくぶん高くなることを認識したうえで,投与しないリスクの方が投与するリスクより依然として高い場合に限り抗精神病薬を処方すべきである。

Halting Antipsychotic Use in Long-Term Care 研究は,オーストラリアの長期介護施設で抗精神病薬を服用している患者(98.5%が認知症)を対象に行われた単群の縦断研究である。完了した93例のうち,69例(74%)が再開やBPSDの悪化を経験することなく抗精神病薬の処方中止に成功した。この研究では,処方中止のプロトコールとして,次のオーストラリアの指針に従った。2週毎に用量を50%減少し,最低用量で2週間投与後,中止。抗精神病薬は1剤ずつ中止し,(可能なら)リスペリドンを最後に中止する54

表6.7 BPSD における抗精神病薬投与の減量/中止レジメン─指針53

抗精神病薬 認知症における
通常用量
減量/中止レジメンの例
(通常は2-4週間,可能であれば理想としては4週間かけて減量する)
amisulpride 25-50mg/日 (用量に応じて)1-2週毎に12.5-25mgずつ減量後,中止する
アリピプラゾール 5-15mg/日 (用量に応じて)1-2週毎に5mgずつ減量後,中止する(5mg/日で投与している場合には,2週間で2.5mgに減量する。ただし錠剤には割線がなく,液剤は高価である。担当の薬剤師に助言を求めること)
ハロペリドール 高齢の認知症患者には推奨されない(せん妄がみられる場合を除く)
(用量に応じて)1-2週毎に0.25-0.5mgずつ減量後,中止する
オランザピン 2.5-10mg/日 (用量に応じて)1-2週毎に2.5mgずつ減量後,中止する
クエチアピン 12.5-300mg/日 12.5-100mg/日を投与している場合は,(用量に応じて)1-2週毎に12.5-25mgずつ減量後,中止する
>100-300mg/日を投与している場合は,(用量に応じて)1-2週毎に25-50mgずつ減量後,中止する
300mg/日を投与している場合は,1週間で150-200mg/日まで減量し,その後は毎週50mgずつ減量する
リスペリドン 0.25-2mg/日 (用量に応じて)1-2週毎に0.25-0.5mgずつ減量後,中止する

用量が比較的高い場合は4週間かけて漸減する。
注:重篤な副作用が発現した場合は,直ちに抗精神病薬を中止する。

BPSD に対する他の薬物療法
認知機能改善薬

AChE-IおよびメマンチンがBPSDに与える作用は軽いものでしかない。メタ解析によると,AChE-IがBPSDに及ぼす作用は統計学的に有意であるが,臨床的な有用性は依然明らかではない55。全体的に,複数の研究で,コリンエステラーゼ阻害薬は激越または攻撃性に比べ,抑うつ,神経不安,無感情,不安症状に有効であることが示唆されている。メマンチンは,激越,攻撃性,妄想を改善することが示された。認知機能改善薬は投与開始後3-6ヵ月しなければ効果が認められないため,これらの薬物療法はBPSDの急性治療には臨床的な有用性がないであろう。しかし,臨床家は認知機能低下を遅らせるためにコリンエステラーゼ阻害薬およびメマンチンを処方するので,結果的にこれらの薬物療法が,問題行動の減少にも役立つ可能性がある56

推奨:上記の状況ではAChE-Iまたはメマンチンを使用してもよく,患者がそれらの薬剤のどれも服用中ではなく,承認された適応に当てはまる場合は投与を検討する価値がある。ただし効果はあまり期待できない。
ベンゾジアゼピン系薬剤

ベンゾジアゼピン系薬剤57, 58 は広く使用されているが,これを支持するエビデンスは乏しい。ベンゾジアゼピン系薬剤は認知機能低下57,認知症のリスク59,肺炎のリスク60全死因死亡率の上昇61と関連があるとされており,高齢者では転倒や股関節骨折増加58, 62 の一因となる可能性がある。

推奨:緊急の鎮静以外は,ベンゾジアゼピン系薬剤は避けること。
抗うつ薬

多くのエビデンスにより,うつ病はADの危険因子の1つであると同時に結果でもあることが示唆されている。うつ病とAD併存の有病率は30-50%と推定されている63。抗うつ薬がうつ病の認知機能に影響を及ぼす機序として,薬剤が特定の神経伝達物質に与える薬理学的作用による直接的影響と,うつ病の改善による二次的影響の2つが推定されている64

BPSDの抗うつ薬の有効性のエビデンスは混在して限定的であるが,激越の治療には抗うつ薬が最も有用であるものの,認知症患者の抑うつ,無感情,不安または精神病にはそれほど有用ではない26citalopram は激越に対する有効性のエビデンスが最も強く,Citalopram for Agitation in AD(CitAD)試験65 によると,citalopram 1日30mgで認知症の激越に有効であることが示されたが,残念ながら,この研究ではこの用量のcitalopramでQT延長のリスクも確認された。QT間隔への影響から,高齢者におけるcitalopramの最大用量は20mg/日とされている。エビデンスは少ないものの,エスシタロプラムもBPSDに有効である可能性がある。セルトラリンの有効性に関するエビデンスは一貫していないが,心臓に対する安全性は長所である26

先行するコクラン・レビューでは,認知症における激越66 に対するトラゾドンは,認知症での使用を支持するにはRCTから得たエビデンスが不十分であったが,最近のコクラン・レビューでは,就寝時のトラゾドン50mgは忍容性が高く,認知症患者や不眠症患者の睡眠を改善することが示された。さらに,トラゾドン150-300mg/日は,前頭側頭型認知症のBPSDの緩和に有効であることが明らかになった。ミルタザピンは,抑うつを呈する高齢者の治療に重要な役割を果たすが,最近のパイロット研究では,睡眠障害を有するアルツハイマー患者に対するミルタザピン15mgの有意な治療効果は認められず,むしろ日中の睡眠パターンを悪化させることが示された。bupropion は認知症についての比較対照試験で検討されてこなかった26

三環系抗うつ薬(TCA)は認知症患者へは使用しない方がよい。TCAは起立性低血圧を起こしやすいので転倒の原因となり,また抗コリン作用による副作用で認知機能が悪化するおそれがある67

これまでに得られている知見から,コリンエステラーゼ阻害薬を投与されているAD患者では,認知機能に対するうつ病の負の影響に対し,SSRIがある程度の保護作用を発揮することが示唆される。現在までのところ,SSRIとAChE-Iを併用したときの効果が相乗的か,相加的か,あるいは独立したものであるかについて,文献の解析では明らかになっていない64。また,気分や行動に大きな問題がないAD患者の認知機能にSSRIが有益かどうかもいまだに不明である68

ごく最近の研究には,高齢者における抗うつ薬の使用には認知症のリスク上昇が伴うことを示すものがあるが,先行研究では,老年期のうつ病発症は認知症のリスク上昇と関連することが示されている点に留意することが重要である。したがって,抗うつ薬使用者とうつ病のない抗うつ薬非使用者との比較は,認知症リスクの上昇は薬剤ではなくうつ病が原因である可能性があるため,適応症バイアスの影響を受ける。

スウェーデンで行われた研究69 では,新規に認知症と診断されたメモリークリニックの患者20,050例を対象に,認知症診断時および診断の前3年間の抗うつ薬使用に関するデータを収集した。認知症診断前の連続した3年間にわたる抗うつ薬使用は,すべての認知症障害およびADでの死亡リスク低下と関連していた。

推奨:エビデンスは弱いが,中等度または重度のうつ病の明確な症状が認められる認知症患者に対して,特に薬物療法以外のアプローチが無効の場合には,抗うつ薬を使用してもよい。
気分安定薬/抗けいれん薬

認知症の認知機能障害以外の症状に対する気分安定薬の使用については,RCTでoxcarbazepine70カルバマゼピン71バルプロ酸72 が検討されてきている。ガバペンチン,ラモトリギン,トピラマートも使用されている73。気分安定薬のうち,認知症の認知機能障害以外の症状に対する有効性のエビデンスが最も強固なのは,カルバマゼピンである74。しかし,カルバマゼピンには重篤な副作用(特にスティーブンス・ジョンソン症候群)があり,また薬物相互作用のおそれもあるので,使用は限定的となる。

非盲検治療の延長期を含む1件のバルプロ酸のRCTでは,バルプロ酸は症状コントロールに無効であることが示されている。12週間の延長期間中に登録患者39例中7例の死亡が認められているが,薬剤との因果関係は確定できなかった75。認知症に対するバルプロ酸の最適用量を検討した試験では,血清中濃度40-60μg/Lおよび比較的低用量(7-12mg/kg/日)で激越が改善した患者もいる一方,同様の用量で有意な改善が認められない患者もおり,また,かなりの副作用が生じた76。2009年のコクラン・レビューでは,認知症患者の激越に対してバルプロ酸が有効であることを示すエビデンスはないが,今後も認知症への使用に関する研究を継続する必要があるとしている77。バルプロ酸は認知症の激越の発現を遅らせることはない78。認知症の認知機能障害以外の症状に対する抗けいれん薬の文献レビューでは,バルプロ酸,oxcarbazepine,リチウムについては有効性を示すエビデンスは少ないあるいは全くなく,ガバペンチン,トピラマート,ラモトリギンについてはさらにRCTを行い,エビデンスを強固なものにする必要があるとしている74

ガバペンチンおよびプレガバリンは,AD患者のBPSDに有効である可能性を示唆するエビデンスが,症例集積研究および症例レビューに基づいた予備的でレベルの低いものである。前頭側頭型認知症に対するエビデンスは不足している79。小規模な症例集積研究では,ガバペンチン1日あたり200-600mg/日の範囲で血管性認知症または血管性とADとの混合型認知症を有する患者7例の攻撃性が低下した。7例中3例でガバペンチン開始後に抗精神病薬を中止することができた。したがって,ガバペンチンは抗精神病薬が適切ではない心疾患患者に有用である可能性がある。レビー小体型認知症患者へのガバペンチンの使用については注意が必要である。行動的な症状を治療するためにガバペンチンを使用後,神経精神病学的症状が劇的に悪化したという報告がある80

抗けいれん薬/気分安定薬は,明らかに有効な患者もいるとはいえ,現時点では,認知症の神経精神症状の治療としてルーチンに使用することは推奨できない73

推奨:気分安定薬・抗けいれん薬の使用を支持するエビデンスは限られている。他の薬剤が禁忌の場合や無効な場合には使用することを考えてもよい。バルプロ酸は使用しないことが望ましい。
メラトニンとADにおける睡眠障害

AD 患者の睡眠に対するメラトニン補充の有効性に関するエビデンスは限られている。6件の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果が,大半は被験者数が限られているが,発表されている。メラトニンは高用量であっても重大な副作用を伴わないことが明らかであるものの,試験の結果は不明確である。主に昼夜の睡眠比率改善および夜間活動の減少に関する有効性を示す試験があった一方,客観的な有効性が示されなかった試験もあった81。確立された睡眠衛生方法を活用した,薬物以外の睡眠障害療法を,認知症の不眠症治療の一次治療とすべきである82

認知症患者の睡眠障害に対する薬物療法についての2016年のコクラン・レビュー83 によると,ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬等,認知症患者の睡眠障害に広く処方されている多くの薬剤に関するRCTは存在しない(こういった一般的な治療においては,いまだにベネフィットとリスクのバランスに関して不明な点が多くあるにもかかわらず,である)。特定された研究では,中等度から重度のAD型認知症患者における睡眠障害にメラトニン(最大10mg)が有用であるというエビデンスは認められなかった。低用量(50mg)トラゾドンの使用を支持するエビデンスもいくらかあるが,より規模の大きい試験でリスクとベネフィットのバランスについて信頼性の高い結論を得る必要がある。ラメルテオンが軽度から中等度のAD型認知症患者における睡眠に作用するというエビデンスはない。この領域では,特に認知症の睡眠障害に臨床でよく用いられている薬剤に関し,実践的試験を行う必要性が高い。

推奨:メラトニンの使用を支持するエビデンスは限られているが,安全性は高く,改善効果が認められる場合には使用も正当化されるであろう。薬物療法以外の睡眠障害の治療法をまず試すべきである。
プロメタジンなど鎮静作用のある抗ヒスタミン薬

プロメタジンは鎮静作用があるためBPSDに対して用いられることが多い。強力な抗コリン作用があり,容易に血液脳関門を通過するため,著しい認知障害の原因となる可能性がある84

推奨:プロメタジンは短期でのみ使用することができるかもしれない。ただし,エビデンスはごくわずかである。
その他

統合解析では,240mg/日のイチョウ葉がアルツハイマー型認知症,血管性認知症,または混合型認知症のBPSDを呈している外来患者の治療に有効であるというエビデンスがある85

BPSD の管理のために,ブレクスピプラゾールlumateperone(強力な5-HT2A受容体拮抗作用,セロトニン再取り込み阻害作用)やpimavanserin(5-HT2A 受容体逆作動作用・拮抗作用)など新たな抗精神病薬が検討されている。BPSDへの有効性を現在,検討されている他の薬剤には,デキストロメトルファン/キニジンbupropion/デキストロメトルファンおよびメチルフェニデートなどがある86

最近の,参加者39例の無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験では,合成カンナビノイド nabilone が,AD患者の激越および攻撃性を有意に改善した。nabiloneは忍容性が良好で,鎮静がよくみられる副作用であるものの,治療に支障をきたす鎮静についてはプラセボ群との有意差は認められなかった87。nabilone は,ADによる激越と攻撃性の治療に有望なカンナビノイド治療薬とみられる86

電気けいれん療法(ECT)

電気けいれん療法(ECT)は,GABA,グルタミン酸塩,ドパミンとノルアドレナリン/ノルエピネフリンなど神経化学物質の中枢伝達を促進することによってBPSD患者に有用となる可能性がある。ECTに関する症例報告,症例集積研究,後方視的カルテ・レビュー,後方視的症例対照研究,非盲検前方視的研究では,認知症患者の激越を緩和する有望な結果が示されている。システマティック・レビューでは,これらの研究における122例のうち88%に臨床的に有意な改善が観察され,有効性は治療初期に認められることが多いと報告された。さらに,(一部の研究では重大な認知機能の副作用が確認されたが)副作用は大半が軽度で一時的なものが多く,報告がないものもあった88。再発した患者では,ECTの維持療法が有効であることが明らかになった。他の治療選択肢に不応な患者や薬物療法に対し忍容性の問題がある患者,自身の安全と健全な生活のために症状の迅速な緩和が必要な患者で,重度認知症を有する場合,激越と攻撃性の治療にはECTは有望な選択肢の1つになる可能性がある。しかし,アクセス可能な研究は限られているため,注意深いアプローチが必要である88, 89

全体的にECTは,エビデンスが限られていること,ECTクリニックへの患者の移送という実際的な側面,同意取得の難しさを考慮すると,一般的な介入法として推奨しない。

推奨:BPSDに対するECTの使用を推奨するにはエビデンスが不十分である。注意:重大な認知機能における副作用が発生するおそれがある。

要約

この分野の治療指針の根拠となるエビデンスベースが不足しているため,適切な症状への対応や薬剤選択に関して具体的な推奨を行うことは不可能である。基本的には,まず薬物療法以外の方法と鎮痛薬を試した後に,向精神薬の使用を考えるべきである。どの薬剤を選択する場合でも,以下のアプローチを留意すべきである。

  • 認知症の認知機能障害以外の症状を誘発する身体症状(例:便秘,感染症,疼痛)の可能性を排除すること。
  • 治療が必要な症状にターゲットを絞る。
  • 薬物療法以外の方法を検討する。
  • 薬剤選択の際には,個々の患者のニーズに即したリスク・ベネフィット分析を行う。
  • 薬剤選択の際には,エビデンスに基づいて判断する。
  • 患者(意思決定能力がある場合)および家族/介護者と治療の選択肢について話し合い,リスクについても説明する。
  • 薬剤は低用量から開始して用量を漸増し,最低限の用量をなるべく短期間投与する。
  • 定期的に治療が適切かどうかを見直し,有効性のない薬剤を不必要に継続しない。
  • 副作用をモニタリングする。
  • 治療の選択や患者・家族・介護者との話し合いの内容を明確に記録する。

<編集協力者コメント>
  • BPSDへの対処として,まずは非薬物療法を優先し,抗精神病薬を使用する際には死亡リスクの上昇の可能性に十分留意すべきである。
  • BPSD に対する ECT は,本邦では一般的ではない。

(辻井 崇)

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